どのような飲み物をおだしするときでもそうですが、お茶もお客様には常に見映えよくおだししたいものです.
そこでお茶のマナーですが
まず、お客様がおみえになったときは、お茶は、別室で入れるのがマナーです。
親しい方なら別ですが、普段のおもてなしでは、お茶は別室で入れます。また、おだしするときは、茶碗の下に敷く茶たくを忘れないようにしましょう。茶碗を茶たくに乗せたままお茶を注ぐのは避けましょう。
おだしする場合のマナーとしては、まず正面を自分のほうにむけ、それからゆっくりまわしながらお客様の前に差し出します。こうすると大変スマートに見えます。
一方、お茶をいただく方も守りたいマナーがあります。
一つは、さめない内にいただくことです。それがもてなして下さる方への心配りといえましょう。いただくときは、両手を使って。一方の手でもち、片方の手を軽く添えると、見た目に大変きれいです。
また、女性の中には、いただいたあと、茶碗にべっとり口紅をつけて平気な方がいますが、これはエチケットに反します。テッシュペーパーでそっとふき取る心づかいを忘れないようにしましょう。
ところで、お茶はTPOによっても飲み分けたいものです。
すきっ腹のときは濃いお茶はさけましょう。一方、お茶を飲むとなかなか寝つけないという人でも、番茶やほうじ茶ならカフェインが少なく、そんな心配もありません。
また、高血圧や潰瘍のある人は、濃いお茶は控えましょう。番茶やほうじ茶ならかまいません。さらに、お茶を飲んでから一時間以内は薬は飲まないようにしましょう。
中国3000年の美味
お茶の原産地は中国ーヒマヤラーインドの山岳地帯と言われています。漢時代に飲茶の習慣が始まり、お茶にまつわる作法やしきたりが生まれました。これには他説もありますが、日本のお茶も中国から伝わったようです。15世紀頃中国を訪れたヨーロッパ人は、その時既に長い歴史を持っていたこの飲物に大変感動し、早速貿易が始まりました。お茶の魅力が世界を動かしたのです。
普通煎茶は30秒位、深蒸し煎茶は、普通の煎茶よりも約2倍長い時間をかけて茶葉を蒸してつくったお茶です。
*かぶせ茶・・・玉露の半分程の日数だけ、お茶の木の上部だけ日光をさえぎったお茶。味わいは、玉露と煎茶の中間的
*玉露・・・20日から25日くらい覆いをする。
*釡炒り製玉緑茶(佐賀の嬉野茶)
*蒸し製玉緑茶(九州各県、静岡の伊豆)
お茶をおいしく飲むには、水がおいしいことも大切な条件です。お茶を飲む水で最も最適な水には軟水質の水が一番です。なにしろ茶碗に入っている茶の99.6パーセントが水です。水しだいで茶の味も当然変わってきます。
茶に適した水の条件としては、バランスのよいミネラル、適度な硬度、Ph、炭酸ガス、酸素を含み、一方で有機物と鉄やマンガンなどの物質が少ないことです。日本の水道水はこれには合格ですが、近年不評を買っている原因はなんといってもカルキ(塩素)にあります。カルキが入っていると、なかなかおいしいお茶が飲めません。かといって、ミネラルウォーターならすべていいというわけではなく、外国産のものの中にはカルシウムが過度に含まれていて、茶には不向きなものもあります。表示をよく確かめてから選びましょう。
水道水を使っておいしい茶を飲むには、まず水のカルキ臭さを消すことが必要です。ベストは、2、3分沸騰させてから適温にさまして使うことです。特に水のあまりおいしくない地域では、5分間以上沸騰させたほうが無難です。一方煮沸しない場合は、水を汲み置きしておくことをおすすめします。4、5時間もたてばカルキが消えます。また、最近では、浄水器の人気も高まっています。蛇口につけるものもあれば、浄水器ポットといって、自動湯沸かし装置付きの保温ポットタイプのものもあります。この場合でも、2、3回水を沸騰させてから使うのが理想的です。
昔は医薬品として高価なものであったお茶ですが、薬理的に有効で あるとわかったのは今世紀に入ってからのこと。 お茶にはたくさんの成分が含まれていますが、主なものとしては カテキン(タンニン)、カフェイン、テアニン、ビタミンC、糖類、フッ素などがあげられます。これらの成分が複雑にからみあって様々な効果を発揮するのです。その中でも、お茶独特のもの、あるいは多く含まれているものについて詳しく見てみることにします。
これはお茶のいわゆる“渋み”を出す成分。カテキン自体はほとんどの植物に含まれています。しかし、お茶以外の植物に含まれているカテキンは、とても苦くて普通は口にすることはありません。渋柿のの渋さ。あれもカテキンです。日照時間が長くなるほどカテキンは多くなります。玉露が甘いのは茶芽が伸びるときに被いをしますので、その分日照時間が短い、つまりカテキンが少ないからなのです。
お茶に含まれているカテキンには、4種類あります。
エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートです。この中のもっとも優れものがエピガロカテキンガレート(EGCG)です。全体の50パーセントを占めていて、「抗酸化ビタミン」ともいわれておりビタミンEと比較してみても、エピガロカテキンガレートの抗酸化力は、「ビタミンEの約20倍」もあるといわれています。効果については次のようなものがあげられます。
● 抗腫瘍作用(発ガン抑制作用) ● 突然変異抑制作用 ● 抗酸化作用● コレステロールを下げる ● 解毒作用
● 血圧の上昇を抑える ● 血糖の上昇を抑える ● 抗菌作用● 虫歯、口臭予防 ● 胃腸の働きを整える
● 脂肪の代謝を活発にする
タンニンと違ってカフェインを含んでいる植物はほんの数種類。スイスの生理学者ルンゲが1820年にコーヒーの中から発見したのが最初だと言われています。また、1827年にはイギリスのウドリーがお茶の葉からも発見しました。カフェインは発芽と同時に出来はじめますので、時期が遅くなるにつれ含有量は少なくなっていきます。効果は以下の通りです。
● 覚醒作用● 強心作用● 利尿作用● 疲労回復
お茶のうまみのもととなるのがこのテアニン。アミノ酸の一種です。
興奮作用を引き起こす活性アミンの働きをテアニンが抑えます。
ビタミンCと聞くと果物や野菜を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は緑茶はビタミンCの宝庫なのです。100gあたり(高級茶の場合)の含有量は、パセリの2倍、イチゴの5倍もあるんです。しかも、緑茶に含まれるビタミンCは、熱湯で壊れてしまうこともありません。 これは、お茶の製法に関係があって、急激に蒸して乾燥している間に酸化酵素が破壊されるからなのだそうです。
人間は、カラダの中でビタミンCを作ることができません。従ってどうしても外から補給しなければいけないわけですから、私たちにとってお茶は強い味方といえるでしょう。野菜の穫れない蒙古では、お茶の葉を団子のように丸めて携帯して食べていたということですし、中国でも船旅には必ず持っていって、ビタミンC不足による壊血病の予防をしていたそうです。
効果についてはみなさんよくおわかりと思いますが、もう一度おさらいしましょう。
● 抗酸化作用● 発ガン物質の抑制、肝臓の解毒作用● ストレス解消、疲労回復
● 血中コレステロールの減少、動脈硬化の予防● 免疫力の増強● 血管壁、皮膚などの組織を作る
お茶の保存
開封したお茶は、直射日光が当たらない冷暗所で保存するのがベストです。お茶は、湿度、酸素、光(紫外線)、高温に弱く、誤った方法で保存するとすぐに劣化してしまいます。また、他の食品と一緒に保存すると、臭いが移りお茶本来の香りが損なわれます。気密性の高い容器に入れて、できるだけ早く飲みきることが大切です。
お茶の品質低下の原因には、大きく分けて湿度・酸素・光(紫外線)・高温・移り香(うつりが)の5つがあげられます。
★湿度
お茶の葉は、含水率3〜5パーセントまでに乾燥させた状態で出荷されているため、開封して放置するとたちまち湿気を吸収してしまいます。水分含有量が増加すると、成分の酸化が促進され、茶葉の色沢・水色・香気のいずれにも極端な悪影響を与えます。
★酸素
酸素は葉緑素やカテキン、ビタミンCなどを酸化させるため、味や品質が劣化して栄養素が破壊されてしまいます。
★光(紫外線)
光に照らされてしまうと、葉緑素の分解を促進させるため、茶葉に含まれるクロロフィルという成分が変質し、色や香りが変わったりします。
★高温
高温下では葉緑素やカテキンが酸化するため、色沢や水色の褐変化が進み悪影響を与えます。
★移り香(うつりが)
お茶には、においを吸収してしまう性質があるので、密封されない状況で保存すると周囲のさまざまなにおいを吸収してしまいます。冷蔵庫で保存すると、冷蔵庫に入っている他の食品のにおいが移ってしまうのです。これを「移り香」と呼んでいます。